NORABIの品田さんと藍染暖簾を作る



藍染暖簾を作る

内装デザインをしている鮨屋で暖簾をデザインの軸として使う事をご提案した。横浜だから暖簾を青色にする事で了解を得てからと言うもの、どうやって変わった青色の暖簾を作るかを考え続けていた。そんな中、小林商店の社員第一号である海来の知り合いにたまたま藍染をしている方がいた。でかした!!と思って先ずは会いに行って話を聞いたら色々と面白くなりそうだったからやってみようと思い、その日は、まずは予算を取れたら電話します、と言う事でお分かれをした。


NORABIの品田さん

https://www.norabi.net/

それから約1ヶ月、紆余曲折あってやっとの事で工事費も決まり、なんとか藍染暖簾の予算を取ることができた。で、この間お会いした方へ早速連絡をしてみた。この方は、元プロサッカー選手で今はNORABIと言う工房を作って藍染をしている品田彩来さん。初めて会った時から視点が面白かった。曰く、環境問題から藍染に行き着いたよう。しかも、アート的に藍染を行って行きたいとの事で、BIO ARTと言っていた。藍染にも化学薬品を使う染め方(簡単?)と昔ながらの染め方(難しい?)が有り、品田さんは後者の染め方を選択している。この染め方は本建正藍染と言い、化学薬品を一切使わずエコな藍染だと教えてもらった。まさか、藍染の話を行ってSDGsの話になるとは思わなかった。


お電話から一ノ宮へ

電話で予算を決めてお好きな様にやって欲しいと伝えたところ、アート製作的な暖簾を作る事になった。品田さんはアーティスト活動もしている。


生地を持って行く事となり一ノ宮へ。その日は災害級の暑さの日だったが、藍染の暖簾を作りたくてやっとこの日が来たからなんて事ない。前日に青土さんから届いた麻布を暖簾のサイズに切って持って行く。枚数を気にしていたが、藍染は重さで値段が決まるよう。見積りは枚数ごとの単価であった。


藍染工房に到着

一ノ宮に着くと猫がお出迎えしてくれた。野良猫の様だが人馴れしていて可愛らしい。野良猫が人の営みの中に根付いているのは都内では有り得ないけど良い光景だと思った。藍染と言う昔ながらの営みには猫がよく似合うのだろうか。名前はたまちゃん。


コーヒー飲みます?とコーヒーを淹れてくれた。朝のコーヒーなんて久しぶりだ。品田さんは海外暮らしが長かったからコーヒーを淹れるのが日課だと言っていた。


都内住まいのあるあるだけど、こう言う所での生活には憧れる。たぶん、凄く不便で大変なんだろうけど、人が忘れてはいけない事がいっぱい有る様に思う。簡単に手放し過ぎているのだ。


本題へ

本題の藍染の話へ。布を見せた所、糊を落とさないといけないと言われたが、青土さんからはこのまま染められると言われていたからその旨を伝える。こう言ったディテールで出来栄えが違うのだろう。ちなみに、糊を落とすのは煮て落とすと良いらしい。ただ、時間はかかるみたいだ。


藍染は染めると言いながら、布を染めていない。繊維に付着して青くなっている。青土さんと先日お話をした時にそう言われたからそのまま品田さんにも聞いてみた。そしたら、化学結合によって青い粒子と布の粒子が細胞レベルで手を繋ぎ結合する、と教えてもらった。イマイチ想像がついてないけど、とにかく染色ではなく付着。しかも細胞が結合するから色落ちしにくい様だ。不思議だった品田さんのBIO ARTと言う語源が分かった。


かなり大きな藍染の窯

藍染の話しを聞きながら、今回の為に(と思いたい)製作して頂いた窯を見せてもらった。ステンレスでできていてかなり大きい。これは他では中々見る事のできない大きさと言っていた。品田さんの心意気が知れて嬉しい。ちなみに、窯は地面に埋めるタイプと奥くタイプがある。品田さんは腰が痛くなるとのことで置くタイプを使用している。まだ、発酵を始めたばかりで凄い臭いですよ、と言いながら蓋を開けてもらった。確かに臭いは凄いが、初めて藍染の作りたての液を見た。しかも発酵中と言う事で泡が出ている。これは珍しい光景だと勝手に感じ、得した気分になった。都内から2時間かけて来るのだが、やはり来て体験すると色々と分かる。布を送ってリモートでってのが一番楽だけど、この業界はいつまで経っても直接会うのが一番安心。それにコミュニケーションがモノを言う為、信頼感の醸成の為にも必要な時間だ。これからも、色々なところに赴きたい。


どんな藍染暖簾にする?

今日のメイン。どんな藍染暖簾にするか?を話し合った。図面を見せてパースを見せて、店のコンセプトを伝えた。大きなコンクリートの箱の中に縁日的にハレの舞台を作る。洞窟の中のハレの舞台、を目指していると。その中で、藍染暖簾の暖簾がデザインの軸となっている事も伝える。そして、このお店にアートを飾る様に暖簾を作って欲しい、と伝えた。電話でもこの事は軽く話していたが、アート作品と言う事でかなり乗り気で既にイメージはある、と言っていた。これは期待ができる。



念の為に、オーナーさんにもイメージを伝えたく、何か似た柄とか有りますか?と聞いてみた。ピッタリでは無いけどこんな感じってのを見せて貰った。本建正藍染はみんなが知っている藍色よりも少し薄くなる傾向にある。多くの人が想像する藍染の色は勝色と言い、何度も染めてやっとできる色。鎌倉時代に武士や商人が好んで使用した色で有る。ちなみに、小林商店のブランドカラーでも有る。勝色。良い名前だ。


見せてもらった藍染は、薄めの青でグラデーションがかかっていたり、模様があったり、こんな藍染の暖簾ができたら素敵なお店になる、と思わせるモノだった。本建正藍染と言う昔ながらの技術を使って現代で通用するアートを作る。古いモノをいかに現代にフィットするカタチで残すか?やっぱり自然のモノ、手作業のモノ、昔ながらのモノは残したい。簡単に手放し過ぎな現代で、この作業を地味にやり続ける品田さんに感服した。このお店をキッカケに色んな反響を得られたら嬉しい。その為にもお店作りを頑張らなければと思った。