
先日、茂原の古民家居酒屋もんしちへ、今後に行う予定のイベントのミーティングも含めて食事にお邪魔してきました。もんしちの近くまで行くと、オレンジ色の日本らしい雰囲気を漂わせ、外観からたくさんのお客さんで賑わっているのが伝わってきました。
嬉しい事に、ご飯を食べ終えてお店から出てきたお客さんが外観の写真をたくさん撮ってくれているのを見て心が躍りました。確かにインスタ映えやSNSに発信するにはもってこいの場所です。

店内に入ると、そこには大きなカウンターと古民家の空間があります。もちろん小林商店も協力させてもらっているので内装は知っていますが、お客様がいる状態と竣工写真で撮影した、人が誰もいない状態とでは活気、雰囲気が違います。
今回は古民家の雰囲気を存分に生かした古民家居酒屋もんしちの内装デザインについて語っていこうと思います。

もんしちの移転計画
もんしちは築300年の古民家で居酒屋を営む、千葉県の茂原の名店です。区画整理事業もあって移転を余儀なくされたもんしちのオーナーは、古民家を残すという勇気ある選択を行い、曳家という昔ながらの技術で古民家自体をレールに乗せて移動する事になりました。
その内装デザインを小林商店が担当し2022年7月にオープンしました。


他にはない特徴を存分に活かす
もんしちには他にはない大きな特徴があります。それは何を言わずともわかる、築300年立ち続ける古民家である事です。古民家の空間はビルインの店舗とは違い、手に入れたくてもなかなか手に入らない特徴です。というか、この特徴を手に入れるのはほぼ不可能、と言っても良いと思います。だからこそ、ビルインの店舗でも古民家から取れる柱や梁を使う店舗があるくらい、古民家というのは多くの人の憧れです。そんな多くの人が欲しくても手に入らない古民家という特徴をもった店舗がもんしちです。

形にするまでに難しかったこととは?
古民家という特徴があれば、ほぼ空間としての方向性は決まります。古民家の特徴である柱と梁をどうやって見せる事です。以前の店舗は柱と梁が見えにくくなっていたので、今回の計画ではどうやって見せるかが一つのポイントでした。また、古民家だからと言ってそれを再現するのではなく、現代の価値観にどうやって合わせた空間にするかがもう一つのポイントでした。
古民家のデザインは、柱を抜くこともできない為に制限が多く、お店のやりたい事は何か?カウンターなのか個室なのか?その席数はどれくらいか?と言うような運営の方向性が決まってくれればレイアウトは構造体から来る制限がある分、楽な方だと思います。

ただ、古民家は現代のように建築基準法がなかった時代の建物なので柱と梁の組み方が不規則だったり、材料が曲がっていたり、と言った要因で立体的に空間を把握していくのがすごく難しい空間です。また、実測して図面化するのも専門的で手間がかかる為、ある程度は図面化できたとしても細部まで図面化するのが難しいのが古民家です。
その為、この図面化が一番難しい、というのが形にするまでに一番難しかった事だと思います。現場に行って決めるんだけど、それを図面化する事が中々できない、と言う状態でした。
完成した感想
色々な事があってもんしちは出来上がりましたが、いま思い返してみてると、ずっと考えていた事は、下手すると昔ながらのとか、田舎風と言われるようないわゆる古民家的な空間になってしまう中で、如何にそうならずに現代人の感性にフィットできる空間を作れるかと言う事でした。古建具を使うけどカウンターはモールテックスだったり、和紙を使うんだけど照明を現代作家のモダンな照明にするとか、その塩梅を考えながらデザインしていたように思います。これからも、古民家居酒屋でありながら少し未来の古民家居酒屋であって欲しい、と願っています。


最後に

少し背伸びをしているように感じさせてくれる空間と、おおきなカウンターと活気のあるスタッフさんたちを囲み、お酒を口にできる飲食店は最高だと感じました。さらに、新鮮な海の幸も食べれるなんて贅沢だ!多分、都内にあっても話題になるだろう、もんしちと言う空間が出来上がり、遠くて中々行けないけどまた行きたいと思います!!
ちなみに、紋七は宿泊施設も経営していて、こちらも小林商店がリニューアルオープンするまで協力させて頂いていいます。
次回は、紋七の宿泊施設を記事にしますのでお楽しみに!