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もんしち
飲食店
地元のランドマーク
地元で愛され、築300年の古民家で50年近く居酒屋を営むもんしちの移転計画である。古民家というとそれだけで特別な空間ではあるが、だからと言ってそれだけで人々から愛されるわけではない。如何に人々が集まるランドマークとなるか?を考えた。
店の中央に大きなカウンターを配置する。厨房は丸見えでオペレーションは大変になるが、その反面、来訪者はスタッフの誠実な働きが見れ、そこには会話が生まれる。それだけで信頼が生まれ、飲食店で重要なコミュニケーションが成立する。この大きなカウンターは人々が勝手に集まり、会話を生み、そこに来る事で特別な時間を生み出す仕掛けとなる。柱で区切られたカウンターは一見、使い勝手を制限するように見えるが、単調になりがちなカウンター席に簡易な間仕切りを生み、カウンターでありながらも個室的な使われ方がされる。今度はあの柱と柱の間に座る、という選択肢を与えてくれるのだ。
古民家らしさを残しながら新しい時代にも適応する為に、新しい素材と古くからの素材を意図的に使用し、古民家らしさを消しながらも残す事を試みている。中央に配置される大きなカウンターは新しい素材を象徴するモールテックスという割れない左官で作っているが、周りに古材の柱や柿渋を塗った腰板が使用される事で古民家らしさを保ち馴染んでいる。周囲を囲う個室空間には鉄で脚の作られたテーブルに和紙を貼った天板を乗せる。壁に和紙を貼るが床はモールテックスを塗る。そんな操作を繰り返す事で、何故か古さを残しながらも現代的な居酒屋が作られた。
古いから良いではなく、新しいから良いでもなく、その割合の塩梅を操作する事で今まで感じた事の無い印象を作り、地方でありながらも都会的な場所を作り出した。また来たくなる。飲食店ではその感覚が重要であり、それは良い違和感と共にあるのでは無いか。ただの古民家居酒屋ではなく、違和感と共にまた来たくなる古民家居酒屋を作り出す事が、勝手に人々が集まるランドマークなのでは無いかと思う。
CREDIT
役割
デザイン
場所
千葉県
業態
飲食店
年月日
2022年
デザイン
小林商店
工事
保川建設
撮影
小林商店
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