【多店舗展開を考察する】1店舗目から多店舗展開を見据えたデザイン
- 小林商店 株式会社
- 9月15日
- 読了時間: 5分
更新日:9月16日
ブランドらしさで差別化する
どんなお店でも、そのお店らしさがあり、そのお店ならではの魅力にお客様は集まります。もう少し細かく言うと、そのお店ならではの「サービス」と「空間」に人が集まるとも言えます。内装デザイン会社ができる事は空間のデザインですから、お店のサービスをお客様に最大限伝わるように空間を作る事が仕事となります。

お店のサービスをしっかりと理解し、そのサービスが求める空間はどんな雰囲気かを考え空間として作り上げる事で、「サービスと空間が一体」となりそのブランドらしいお店が出来上がります。空間デザインを通じたブランディングとも言えるのかもしれませんが、店舗を展開する上では何となくではなく、1店舗目からそのお店ならではの特徴を意識して空間を作る事が重要になってきます。

差別化を実現しつつ、再現性のあるデザインを目指す
店舗を展開していく中で、毎回違ったお店を目指すのではなく要素をある程度固定して物件に当てはめていく事で群としてのブランド作りが多店舗展開ならではの方法です。その際に、例えばどの施工会社でも再現が可能な素材を利用したり、形状を限定したりなど、再現性のあるデザインを心がけます。同じような素材でも貼りにくかったり施工会社によっては施工ができなかったりしますので再現性がなければNGと言うことになります。
だからと言って、どこにでもある物であれば既視感があり差別化が難しくなります。その場合には、空間が複雑な要素の集合として出来上がる事を活かして、組み合わせで違った雰囲気を作り上げることを考えます。例えば、どこにでもあるアーチ状の入口であっても、その上にランプをつける事でまた違った雰囲気を作る事ができます。更に、それが入ると付くランプなら機能的にも有効です。他にも、様々な部分で組み合わせを考える事で、差別化を実現しつつ再現することが可能なデザインが出来上がっていきます。

「必ず統一する要素」を決める
その上で、空間の細部を決めるカタチは記憶に残りやすい事を利用して、ブランドイメージを作る「必ず統一する要素」を決めます。その要素は空間をイメージを作るものであればあるほど効果は高く、「必ず統一する要素」を何にするかは最初から慎重に決めるべきでしょう。
店舗を展開すると言う事は、ブランドのイメージを空間として再現していく事ですが、ロゴマークのように「必ず統一する要素」と言うのを設定し、それによってどの物件、どの地域でも同じような店舗が出来上がることを目指します。どのマクドナルドに行っても同じような雰囲気である事からもわかるように、多店舗展開される店舗の多くは「必ず統一する要素」が決められています。

統一しすぎると飽きられる、バラバラすぎると認知が落ちる
どのブランドでも同じものを作りすぎると、ある段階で飽きられます。ただ、空間は「全て同じ」を再現するのは難しいとも言えます。なぜなら、この地域ならではの運営が考案されたり、この物件なら内装はこう言う事ができそれがコストメリットにつながる、なども考えられます。内装のデザインは複数の要素を統合し、これがベストの回答だろうと考えていきますが、どの物件でも同じものは、物件によってそれが許されなかったり、コストデメリットに繋がったりする事を頭に入れてデザインを決定していく事が求められます。

「必ず統一する要素」と「そうでは無い要素」は、状況によって適切に判断されるべきで、物件や出店場所の地域性によっても変わって来るのがベストです。その判断はデザイン会社に委ねられますが、それらがデザイン会社のこだわりとして表面化し施工会社を泣かせたりします。だからこそ、デザイン会社と施工会社は別の方がやりやすかったりします。逆に、多店舗展開ではこう言った「そうでは無い要素」が出にくくなる為、注意する必要があります。施工優先で考えていくとフォーマット化された方が良いのですが、それはブランドが飽きられる要因にもなります。

思考をし続けることを止めない
空間作りは複雑な要素の掛け算で出来上がります。その複数の変数を何となく良い感じでデザインして空間にするのがデザイン会社の役目であり、そこには深い知識や経験、思考力が求められます。知識がなければ実現できませんし、その知識は現場で身につけた経験によるものでもあります。そして、最も重要なのは、継続的な思考力です。多店舗展開となると、思考停止で同じものを作れば良いと考えがちです。ただ、実はそうではなく、強いブランドはその都度真剣に物件や状況と向き合い、認知を求めつつも飽きられない空間を作る為に、思考を止める事なくベストな回答を出し続ける必要があるのです。

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